2022年10月06日

新潮社『波』で近藤ようこ先生の新連載「家守綺譚」が開始されました

2022年9月27日発売の新潮社『波』2022年10月号から近藤ようこ先生の新連載「家守綺譚」(いえもりきたん)が始まりました。原作は梨木香歩(なしき・かほ)さんです。
梨木香歩「家守綺譚」(新潮社)

2004年に刊行された本作品。物語の舞台がどこかは本文には書かれていませんが、京都の山科あたりではないかと言われているそうです。時代については描かれていませんが、明治時代の雰囲気です。先生の絵を見ると女性が髷を結っているので、当たりでしょうか。

主役とも言える「家」については梨木さんの家がモデルになっているとのお話もあります。間取図は梨木さんが細かい絵を作成し、近藤先生がそれを参考に漫画にしてわかりやすいものにしたそうです。

原作者・梨木香歩さんは昭和34年生まれ。近藤先生が昭和32年生まれなので、ほぼ同世代です。先生が再びご存命の方の作品を手がける気になったことを嬉しく思います。

私も物の怪というか、木や花や自然に宿った精霊と人間が隔てなく地続きで暮らしている日本の物語が昔から好きです。スピリチュアル好きな人間ではないと思いますが、当たり前のように目に見えないものは存在すると思っています。近藤先生にぴったりの原作で、これからがとても楽しみです。








2022.10.06. 15:36 | 雑誌掲載情報

岩波書店『図書』で近藤ようこ先生のコミックエッセイが始まりました

2022年10月1日刊行の岩波書店『図書』で近藤ようこ先生のコミックエッセイが始まりました。「ゆうやけ七色」というタイトルです。第1回目は「自己紹介」とあったので、これからご自身のお話などをしてくださるのだと思います。楽しみです。
岩波書店 図書 2022年10月号

『図書』は大きな書店では取り扱っていますが、なかなか入手が難しいので、この機会に定期購読することにしました。こちらからできます。1冊目が振込用紙付きで送られてくるので後で郵便局などから入金するシステム。古典的…。
『図書』年間購読のお申込み
図書2022年10月号
2022.10.06. 00:00 | 雑誌掲載情報

2021年04月13日

『コミックビーム』2021年5月号から「高丘親王航海記」の新章が開始

comicbeam202105.jpg2021年4月12日、「高丘親王航海記」IIIが刊行されました。同日発売になった『コミックビーム』2021年5月号から新章がスタート。表紙も飾っています。

「高丘親王航海記」の3巻は空海和上と高丘親王が夢で出逢うところから始まります。この目で空海が生きている人ではないことがわかるのが「画力」というものだと「あとがき」南伸坊さんが書かれていますが、私もそう思いました。鮮やかな色の装幀は珍しいですが、この中国〜アジアを巡る不思議な旅にはとてもにつかわしい。

『コミックビーム』に掲載されている新章はスマトラ島が舞台です。ラフレシアのまがまがしいピンクが近藤先生が描くと、妖しげではあるものの不思議と柔らからい色に見えます。ここから物語はクライマックスに向かっていきます。まだ先ですが楽しみですね。



2021.04.13. 10:24 | 雑誌掲載情報

2020年05月17日

5月2日に「ゆうやけ公園」が青林工藝舎から再刊されます。

ゆうやけ公園2020年5月25日、青林工藝舎から「ゆうやけ公園」が再刊されます。この作品は徳間書店のPR誌「本とも」に、2010年から2011年にかけて連載され、2011年に同社より単行本として発売されたものの再刊です。連載中、あと2話で完結するというときに東日本大震災が起き、仕事が手がつかなくなったと徳間書店版の「作者あとがき」にあります。この作品は「3月11日より前の世界を描いた最後の作品」とおっしゃっています。
ゆうやけ公園

あらためて今読んでみて、わずか10年ほど前の作品ですが、ホームレスの方をめぐる環境はもっと厳しくなっているのだろうと思います。連作短編なので複数の登場人物の物語が展開されますが、一つ一つがほっとするような作品で、近藤先生の現代ものはやっぱりいいなぁと思います。

今回、この「ゆうやけ公園」の復刊はコロナウイルス感染症の拡大の中で世界中が変わって行く中での発売となりました。震災の前後で描かれる物語はどうしても変わりましたが、今度のコロナ禍は範囲が広いため、もっと影響が大きい。これからは現代の物語を描く上で「コロナ前」「コロナ後」が出てきてしまうのかと思いました。

青林工藝舎「ゆうやけ公園」
青林工藝舎アックスでは発売日の5月25日までに予約購入された方にサイン入り本を送ってくださるそうです。特製ポストカードも1枚ついてきます。800円以上送料無料なので、この本は送料無料になります。


2020.05.17. 15:23 | 雑誌掲載情報

2019年10月27日

ビリケンギャラリーで開催されている「天幕の街」に近藤先生の作品が出品されています。

tenmakunomati.jpg2019年10月26日〜11月10日、ビリケンギャラリーで開催される「天幕の街」という企画展に近藤先生が出品されています。「それぞれの心の奥にあるサーカスや見世物小屋の世界を表現する」という趣旨で、近藤先生の作品は「タコ娘とカッパ」(B4サイズのケント紙、ミリペンに水彩・パステル)です。


見世物小屋はもう日本で興業するのは大寅興行社1社になってしまったそうです。蛇を食べる女も抗議にあってなくなってしまったとのこと。タコ娘、人間ポンプ、蛇女、ろくろ首…。もう見ることは出来ないから「それぞれの心の奥にある」見世物小屋なんですね。

「天幕の街」
会期:2019年10月26日(土)〜11月10日(日)※月・火は休館。
時間:12:00〜19:00
会場:東京都 ビリケンギャラリー
2019.10.27. 22:41 | 雑誌掲載情報

2019年03月13日

『月刊コミックビーム』4月号から「高丘親王航海記」の連載が始まりました。

コミックビーム2019年4月号2019年3月12日発売の『月刊コミックビーム』4月号(KADOKAWA)で澁澤龍彦原作の「高丘親王航海記」が始まりました。近藤先生の紙の誌面での連載は同じく『コミックビーム』での「蟇の血」が2018年2月号で終わって以来。澁澤龍彦の遺作となった幻想的な小説です。

865年、高齢の高丘親王が広州から船で天竺に向かう旅を描いたものですが、親王にとって憧れの「天竺」には幼い頃の薬子の存在がありました。幼い親王に添い寝する薬子、妖しいですね。これから旅に出る高揚感と不安とが入り交じった第1話でした。

また、表紙とカラー4ページも嬉しいです。華やかな表紙絵には儒艮、白猿、犬頭人が登場しています。これから他にもおもしろい動植物が登場します。楽しみです。

『月刊コミックビーム』
2019.03.13. 00:43 | 雑誌掲載情報

2019年02月14日

『コミックビーム』2019年4月号から「高丘親王航海記」の連載が始まります

高丘親王航海記2019年3月12日発売の『コミックビーム』4月号から、澁澤龍彦原作の「高丘親王航海記」の連載が始まります。久しぶりの紙の雑誌での連載に心躍ります。

原作は澁澤龍彦の遺作。初出は『文學界』1985年8月号〜1987年6月号。読売文学賞を受賞しています。平城天皇の第三皇子であった高丘親王は「薬子の乱」の折に皇太子を廃され出家。空海のもとで密教を研究していましたが、西暦875年、67才のときに二人の僧とともに広州から船で天竺へ向かい、そのまま消息を絶ったと言われています。この歴史的人物をもとにした幻想的な文学作品です。

人語を喋る儒艮、
鳥のからだをした女、
夢を食べる獏……。
エクゾティシズムに満ちた
怪奇と幻想の旅が始まる……


この作品を日本文学を漫画化することについて比類なき作家である近藤ようこ先生の手によってどんな作品になっていくのでしょうか。楽しみです。

コミックビーム

高丘親王航海記(文春文庫)
2019.02.14. 00:26 | 雑誌掲載情報

2018年07月21日

「見晴らしガ丘にて それから」連載開始

miharashisonogo.png2018年7月20日、ホーム社の運営するウェブマガジン「スピネル」で近藤ようこ先生の「見晴らしガ丘にて それから」の連載が始まりました。「見晴らしガ丘にて」は1986年、第15回「日本漫画家協会賞優秀賞」を受賞した作品で、東京近郊の住宅地を舞台にした群像ドラマでした。

「見晴らしガ丘にて それから」はそれから三十余年ぶりに、あの住宅地で現在を生きる人たちを描く連作シリーズです。

第1回は「なつめ屋」。「見晴らしガ丘にて」第8話の「なつめ屋主人」はおにぎりやさんの「なつめ屋」の未亡人・佐代子とポルノ小説家の先生とのお話でした。その後この「なつめ屋」の2代目になったお二人の息子と、小学校の同級生のお話。月1回の連載で、次回第2話は8月17日(金)の予定です。

漫画雑誌がどんどん減ってる中、ウェブ連載でも何でもありがたいし、最終的に単行本になってくれたら絶対買います。
2018.07.21. 15:14 | 雑誌掲載情報

2018年05月26日

近藤ようこ先生が「鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界」展に出品

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界青山のビリケンギャラリーで開催中の「鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界」展に行ってきました。鴨沢祐仁と稲垣足穂の世界をオマージュした作品を、絵だけでなく立体のものも含めて22名の作家の方が出品されています。

会場:ビリケンギャラリー(東京都港区青山5-17-6-101 地下鉄表参道駅B1出口徒歩7分)
会期:20218年5月19日(土)〜6月3日(日)

20180525-2.jpgこの展覧会に近藤ようこ先生も出品されています。先生の作品は「ハラッパA」というタイトルでした。これは代官山にあったオシャレなお菓子屋さんの名前です。日本の駄菓子屋のイメージではなく、1950年代のアメリカを意識したレトロポップなお店でした。この「ハラッパA」は株式会社ハニーが経営していて、80年代の代官山カルチャーを代表するお店の一つでした。1973年から、いつまであったんでしょう?気付いたらなくなってました。そのお店の看板に鴨沢祐仁さんの絵が使われていたのです。

20180525-3.jpg会場では近藤先生のサイン入りの著書も販売されていました。

2008年になくなられた鴨沢祐仁さんは『ガロ』でデビューされた漫画家ですが、私はイラストレーターだとばかり思っていました。かわいらしく華やかな色合いのイラストで、1980年代の空気感満載です。『ビックリハウス』の表紙のほか、CDジャケットで記憶しています。

北原照久さんは鴨沢祐仁さんの原画の大半を所有し、鴨沢祐仁さんの版権管理は北原照久さんの会社トイズプランニングが行っています。この展覧会においてあったイラスト集も北原さんの協力のもと作られたとのことでした。


「鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界」展、青木俊直や森泉岳土ら22名が参加(コミックナタリー)
2018.05.26. 23:16 | 雑誌掲載情報

2018年04月29日

青林工藝舎『アックス』vol.122に近藤ようこ先生と齋藤なずな先生の対談が掲載

ax 1222018年4月23日発売の青林工藝舎『アックス』vol.122に近藤ようこ先生と齋藤なずな先生の対談が掲載されています。齋藤なずな先生の新刊「夕暮れへ」の刊行を記念して行われた対談です。「夕暮れへ」刊行時に近藤ようこ先生が帯を書かれています。

齋藤なずな先生は40歳でデビューしたという遅咲きの漫画家さんです。もともとイラストレーターだったそうで、画力が確かなのはそこからでしょう。でもイラストと漫画は違うので苦労されたお話もされています。この画力の確かさが現れているのが、一人一人登場人物の顔が全く違うところです。この点を「夕暮れへ」のあとがきで呉智英先生が指摘されていますが、実は理由があることが対談で明らかにされています。意外な理由です。

「セキレイインコ」を見て突然涙を流す、というシーンは実話だそうです。これって近藤ようこ先生の「かいつぶり」にちょっと共通していますよね。親の死に直面しているという心情的に共通しているシーンではありませんが、川の「鳥」にふと心を動かされるというところが、ちょっと。

「トラワレビト」は本当に怖いお話なのですが、お母さんの妄想が突拍子もないようで、つじつまがあっていて、こういうところリアルだなぁと思って読んでいたら、そこが実話なんだ!と驚くようなところがありました。これくらい吹っ切れた毒親話もあまりないですよね。

「ぼっち死の館」で絵が劇画調になっていて怖いですがその理由も。この話、ものすごくおもしろくて、やっぱりリアルだなぁと思いました。対談でもその辺が語られています。「ぼっち死の館」はシリーズ化され、『ビッグコミックオリジナル』2018年1月増刊号に掲載されています。更に続きが夏に予定されています。

夕暮れへ
近藤先生は齋藤なずな先生(72歳)よりずっとお若いのですが、「トラワレビト」や「ぼっち死の館」の登場人物たちより少し若い、ちょうど自分たちの年齢の人が読むのではないかとおっしゃっていて、そうかもしれません。私はもう少し年下なので、まだあまりピンと来なくて、「トラワレビト」のお母さんでさえ、滑稽だと思ってしまえるほど距離感がある。でも、この先きっとこの本はまた読みたくなる、と思ったので、大切にもっていようと思いました。

青林工藝舎アックスストア アックスvol.122
夕暮れへ

2018.04.29. 01:58 | 雑誌掲載情報