2016年12月18日

「夢十夜」単行本が発売されます。

夢十夜2017年1月19日、岩波書店から近藤ようこ先生の「夢十夜」(原作:夏目漱石)が刊行されます。


第1夜から8話まではWebで連載されており、第9話と10話が単行本で追加となります。
岩波書店 WEB連載「夢十夜」

【追記 2017.2.4】
この刊行を機に原作の夏目漱石の「夢十夜」の単行本カバーが変わります。
近藤ようこ先生のものになるのです。岩波文庫の表紙が変わるってすごいことですね。
2016.12.18. 16:31 | 単行本発売情報

2015年12月25日

「月影の御母」「美しの首」の新装版が2冊同時刊行

美しの首 新装版月影の御母

2015年12月25日、近藤ようこ先生の「美しの首」「月影の御母」の新装版が2冊同時に刊行されました。装丁は新たに描き下ろしたイラストです。「美しの首」の方は「玉鬘」のカラー3ページが再現され、「月影の御母」の方は第1回「水底の夢」と第2回「海石榴市」のカラー扉が再現されています。こういうの、嬉しいんですよね…。

「美しの首」  「月影の御母」

近藤ようこ「美しの首」「月影の御母」2冊の新装版が同時発売(コミックナタリー)
2015.12.25. 23:15 | 単行本発売情報

2015年11月11日

「水鏡綺譚」がちくま文庫で発売

水鏡綺譚2015年11月10日、近藤ようこ先生ご自身が「自分の仕事の中でいちばん好きな漫画だった」という代表作「水鏡綺譚」がちくま文庫になりました。私自身、近藤先生の作品の中で一番好きな作品です。

これで3回目の単行本化です。今回は新たに先生ご自身の解説がついています。それを読んで思ったのですが、この作品はやはり少年漫画です。冒険漫画であり、教養小説でもある。旅をしながら成長していく少年の姿を描いてます。戦国時代に狼に育てられた孤児のワタルと記憶をなくした少女・鏡子が旅しながら様々な出来事に出会います。未読の方がいらしたら、是非。とても優しい漫画なんです。

単行本「水鏡綺譚」
2015.11.11. 20:55 | 単行本発売情報

2014年12月25日

「説経 小栗判官」の新装版が発売

説経 小栗判官2014年12月25日、KADOKAWA/エンターブレイン社から「説経 小栗判官」の新装版が発売されました。中世末に成立した口承文芸・説経節の長編「小栗判官」をマンガ化した作品です。

近藤先生の「説経 小栗判官」は1990年に白泉社から、2003年に筑摩書房から文庫で出ていましたが、長らく絶版状態でした。最近では2009年に宝塚が「オグリ!」を上演したり、他にも様々な劇団が「小栗判官」をもとにした舞台を上演しています。舞台化される際に役者さんたちが原作を読むことはあると思いますが、この作品の場合「原典を読め」というのはなかなか難しく、近藤先生のマンガ作品が重宝されていました。私たち観客も同様に、どんなお芝居なのか雰囲気をつかみたくて、読みたくなると思います。しかしながら、ここ数年は絶版で入手が難しかったのです。この新装版の刊行で助かる人が大勢いると思います。

もともと、この作品は横浜ボートシアターの仮面劇を見たことがきっかけになって描かれたものだそうです。当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、お芝居との縁の深い作品です。また、近藤先生はよく熊野に行かれたとあとがきに書かれていて、そう言えばと思い出しましたが熊野三山への旅エッセイも書かれておられました。

新版には初版時のあとがき、ちくま文庫時の山口昌男氏(故人)の解説に加え、今回のあとがきが収録されています。この本が刊行されたのは、『コミックビーム』とのご縁のおかげです。ファンとしてはとてもありがたいです。


2014.12.25. 18:29 | 単行本発売情報

2014年05月21日

単行本「異神変奏 時をめぐる旅」発売

variations.jpg2014年6月30日、「異神変奏 時をめぐる旅」が発売されます。この作品は小学館の『flowers増刊 凜花』にて2010〜2012年に連載された作品です。KADOKAWA/メディアファクトリーから発売されることになりました。芥陽子さんの装幀です。
amazonで購入

2014.05.21. 16:13 | 単行本発売情報

2014年03月24日

単行本「五色の舟」発売

五色の舟2014年3月24日、津原泰水原作の「五色の舟」が発売になりました。
この作品は「コミックビーム」2013年8月号〜2014年3月号に掲載された全8話の中編作品です。

amazonで購入


津原泰水さんの原作はこちらに収録されています。
「11 eleven」河出書房新社 2011.6.16


2014.03.24. 23:06 | 単行本発売情報

新装版「宝の嫁」発売

宝の嫁2014年3月24日「宝の嫁」の新装版が発売になりました。「五色の舟」を刊行したKADOKAWA/エンターブレインからの同日発売となります。この単行本は2006年にぶんか社から発売され、絶版になっていたものです。

収録作品は以下の通りです。前の版と同じです。
石の赤子
かくれ星
花守り
苦い泉
宝の嫁
君よ知るや南の国
夢の底の人形
稀人

amazonで購入


2014.03.24. 22:26 | 単行本発売情報

2012年12月03日

単行本「戦争と一人の女」刊行

戦争と一人の女/近藤ようこ2012年11月30日、「戦争と一人の女」が青林工藝舎から刊行されました。単行本描き下ろしです。

青林堂工藝舎 2012年11月30日 ISBN978-4-88379-377-8
こちらから一部試し読みが出来ます。

原作は1946年10月『新生』に発表された坂口安吾の短篇。発表時はGHQに肝心なところを削られていて、本作の意味がほとんど残されていません。完全版は「桜の森の満開の下・白痴 他十二篇」(岩波文庫)や安吾全集に収録されています。岩波文庫はkindleにはなってないのに、hontoにはあるんです。

また、本作は「続戦争と一人の女」とセットになっていて、「戦争と...」は男の方から描いたもの、「続戦争と...」は女の方から描いたもの。本作の方を作者が封印してしまったため、「続...」だけが「戦争と一人の女」となってしまいました。2000年に安吾全集が出て、完全版が読めるようになりました。でも何故「戦争と...」がGHQで削除され、翌月に発表された「続...」の方が削除されなかったのでしょうか。後者は『サロン』という雑誌で『新生』ほどメジャーではなかったのかもしれません。

しかし、たいへん残念なことに青空文庫が削除版を使ってテキスト化しております。無料ですから、どうしてもこちらが普及してしまいます。電子書籍が流行出すこの機会に作り直して欲しいです。というか、自分でやれば良いのでしょう。時間を見つけてチャレンジしてみたいです。

そしてもう一作「私は海をだきしめてゐたい」が入っていますが、これは「戦争と...」と同じお話から...戦争という背景だけを抜いたもので、不感症の女と虚無的な男との日常を描いています。エロティックな作品ですが、1947年の『婦人画報』はなかなか進歩的だったのだなと妙に感心しました。

普段ドラマや映画で観ている戦争ものとは異なり、戦時下につらく苦しい思いをしている人ばかりではないということ、戦争により生かされている人もいたのだろうということを官能的に描いてくれた作品です。

戦争が人を惹きつけることはよくあることです。ドイツの戦時中の庶民を描いた小説は、戦後すぐにはなかなか出てきませんでしたが、1970年代以降に登場したものを読むと、実は庶民が一部の人々は狂喜してて、大部分の人々は淡々と戦争状態もナチも受け入れていたことが描かれていました。日本の小説やテレビドラマでは庶民は被害者、軍と政治家が悪いという扱いが多いように感じます。軍に媚び権力を笠に着る人物も登場しますが、たいてい主人公の敵役です。そんな普通の「戦時下もの」にはない魅力が、この安吾の作品にはあります。

戦争は平和な世界を楽しめない人にとっては、嬉しい事態なのでしょう。そんな人たちに戦争がどんな災厄を招くかを知ることでしか、戦争は避けられないのだと、繰り返し伝えていくしかないのですが、聞く耳をまったくもたない人がいるのだということが、ネットを見ているとよくわかり、怖いなと思います。

先に記載しましたが、この作品の原作は男女両方の視点から描かれているので、最初は「私は夜の空襲が始まってから...」という女性の方のモノローグから入りました。次に「...それまでのつながりだ、と野村は思った」と第三者視点に移行し、また「私は昔女郎だった」と女性の視点に戻ります。「女の肢体は...」と男性の視点なのか第三者なのか微妙なものも入ります。また後の方で「いつもこんな女だったら俺は幸福なんだがな」という男性のモノローグに移行したりします。この「語り手のゆれ」というか「切り替え」については、とても考えられているように感じます。...絵を使って物語をさまざまな角度から描くことが出来る漫画の特徴を上手に利用して混乱しないようにしているのですが、ふっとそれぞれの意識の中に入り込んでは抜けていく不思議な浮遊感があります。一つの物語の中での視点の変換は長編小説ではありますが、短篇小説ではやりにくいので、安吾も本編と続編という形をとったのでしょうか。

作画も描き下ろしだけあって、狭苦しくない伸びやかなコマ配分でじっくりと見せてくれます。p128〜130への流れやp133の1ページ1カットのところが特に好きです。女性の表情、特に目にはゾクっとさせられます。表紙の下半身は防空壕から見上げたストッキングをはかない女性の足で「下半身で生きる女性」を現してしているのか、自分の足で立つたくましく生きる力を現しているのか、はたまた...と頭の中をぐるぐるめぐってしまいます。

ところで、原作から今年、映画が作られています。公式サイトはなく、facebookページですが、湯布院映画祭で初上映され、その後ちょこちょこと後悔されていますが、まだ全国公開時期が決まっていないようです。是非見たいですね。
2012.12.03. 21:00 | 単行本発売情報