2021年01月17日

「兄帰る」新装版が発売されました

兄帰る 新装版2021年1月17日、「兄帰る」の新装版が発売になりました。この作品は2005年〜2006年に連載されたもので、wowowで実写ドラマ化もされました。再読してみると、やはりしみじみいいですね…。新装版のあと書きで「平凡な人たちの地味な人生(……)つかみどころのない明るいグレーゾーン(……)やっぱり私に一番合っていると思います。」とご自身で書かれていて、何度もうなづいてしまいました。

最近指摘されることが多いのですが、私は漫画に「やさしい世界」を求めるようなのです。SFやファンタジーはどんなお話でも平気なのですが、現代物については特にその傾向が強い。でも、ふわふわしているのは好きではない。近藤先生の現代ものが私にはピッタリ合うようです。「漫画ではあまり求められない世界」とのことですが、きっと私以外にもたくさんの人が求めているのだと思います。

イースト・プレス社では初めての単行本となります。イースト・プレスのウェブマガジン、matogrossoで第1回が全部読めます。
2021.01.17. 18:58 | 単行本発売情報

2019年06月15日

「見晴らしガ丘にて それから」が刊行されます

2019年6月25日、ホーム社から「見晴らしガ丘にて それから」の単行本が刊行されます。これは2018年〜2019年にかけてウェブサイト「スピネル」で連載されていたものです。
1984年〜1985年にかけて発表された「見晴らしガ丘にて」は東京近郊の住宅地を舞台にした群像ドラマです。その地で今を生きる人たちを描く連作シリーズです。1986年に第15回「日本漫画家協会賞優秀賞」を受賞した、近藤ようこ先生の代表作の一つです。これを30以上後に再び同じ舞台で、でも登場人物は現在の人たちにして、過去作と連携をとりながら発表された連作短編集です。懐かしいあの人たちも登場しています。

スピネル「見晴らしガ丘にて それから」には現在は「なつめ屋」だけ掲載されています。

見晴らしガ丘にて それから(ホーム社)

また同じくホーム社から「見晴らしガ丘にて」がデジタル版になって上下巻で刊行されます。単行本がずっと出ていたのですが、在庫切れになり入手しにくくなっていたので、デジタル花の配信はありがたいです。これも同じくホーム社からのものです。

見晴らしガ丘にて デジタル版 上(ホーム社)見晴らしガ丘にて デジタル版 下(ホーム社)
2019.06.15. 12:42 | 単行本発売情報

2018年10月01日

「夢十夜」(夏目漱石原作)のフランス語版が刊行されました。

Dix nuits, dix rêves2018年8月、近藤ようこ先生の「夢十夜」(夏目漱石原作)がフランスで出版され、フランス語に翻訳されています。近藤先生の作品の海外翻訳は初めてだそうです。

漱石はフランスでは根強いファンがいることもあるのでしょうけれど、BD(バンド・デシネ)が日本では根強い人気がある一方、谷口ジローなど日本のマンガ作品もフランスで広く紹介されていることもあるでしょう。
私が翻訳されたマンガを見ると思わず「オノマトペ」に注目してしまうのは、本文が読めないせいもあるでしょう。仕方がないですね(笑)。

購入方法ですが、紀伊國屋書店で購入できます。2,635円ですが、15.50ユーロ(約2,000円)なのでフランスから自力輸入することを考えたら妥当な金額だと思います。欧明社に問い合わせるなど、他の購入方法もあると思います。船便なので1〜2ヶ月待ちますが、到着したら「追補」でこのページにアップします。

書名:Dix nuits, dix rêves
著者名:Yoko Kondo
翻訳者名:Patrick Honnoré
発行年月日:2018.8.23
出版社:PICQUIER
叢書名:BD MANGAS
言語:フランス語
ISBN978-280971357-2
価格:15:50ユーロ
製本:紙装版、ペーパーバック

出版社「PICQUIER」のサイトamazon.fr

追補:2018.10.18
Dix nuits, dix rêves紀伊國屋書店から到着しました。3週間弱かかりましたが、早いほうではないかと思います。
私はフランス語はわからないので、やっぱりオノマトペに目が行ってしまい、おもいろいなぁと思います。きちんと文字を合わせてデザインしているところがさすがです。日本語版と比べ版型は少し大きいですが、絵の大きさは同じ。裏表紙が違って「第三夜」扉のイモリです。あとがきまでちゃんとフランス語に翻訳されてます。

DIX NUITS DLX RÊVES

2018.10.01. 14:28 | 単行本発売情報

2018年02月11日

「蟇の血」(田中貢太郎原作)が刊行されました。

蟇の血2018年2月10日、田中貢太郎原作の「蟇の血」がKADOKAWAより刊行されました。『月刊コミックビーム』2017年9月号から2018年2月号まで連載された作品です。大正から昭和初期にかけて活躍した怪談作家・田中貢太郎による小説を漫画化したもので。高等文官試験を控えた青年・三島譲が、気晴らしに訪れた海岸でどこかはかなげな女性と出会い、ともに暮らすようになりますが、不思議な出来事に巻き込まれていきます。怖くて不気味で奇妙な作品です。

近藤先生は2度の個展でこの作品をテーマにした絵を出品されています(2015年9月の「物語る絵」と2017年2〜3月の個展「物語る絵2」)。お気に入りの作品だったのだと思われます。

本作の書籍版には連載で発表されたカラー絵が4枚収められています。三島の出会う3人の女性のそれぞれの雰囲気がよく出ている絵で、発端になる女性と、つないだ女性とラスボスのような女性の3人の違いがそれぞれよくわかります。でもみんな怖い。あと、カラーの蟇が怖いです。

また、装丁の紙が相当凝っていて、「ギンガムGA 極・紫」という紙だそうです。ということはこの色は紙の色そのままで、銀の線をのせているのでしょう。紙の本を買うという体験はこれから貴重になっていくのかもしれません。こういう「手触り」が大事になるのでしょう。

「蟇の血」
2018.02.11. 01:39 | 単行本発売情報

2017年12月20日

「怪奇まんが道」に近藤ようこ先生の章が収録されています

2017年12月19日に発売された「怪奇まんが道 奇想天外篇」に近藤ようこ先生の章が収録されています。「怪奇まんが道」のシリーズは2冊目。漫画家のインタビューから、その人の生涯を漫画に描きおこすというもので、2017年10月20日から11月9日の期間、ホーム社のWebマンガサイト「Z」に発表されていた作品です。

このルポルタージュ、近藤先生の絵の特徴をよくとらえて、パッと見た瞬間は近藤先生ご自身の絵かと思ってしまいました。他の漫画家の方の絵もそっくり。器用な方なんですね。

近藤先生が高橋留美子先生と高校で同級生、そして同じ漫画研究会に所属だったお話はよく知られていますが、その後近藤先生がどういう道のりを経て現在に至ったのか、よくわかる作品です。私は近藤先生のエロ劇画時代の作品が大好きなんです。とても瑞々しいのに、不思議と痛々しくない。1970年代のアングラによくある雰囲気だけの作品ではまったくないのです。当時から気持ちに刺さる作品を描かれていたのだなぁと思います。それから「見晴らしガ丘にて」の糸井重里さんの書評、以前から知ってはいましたが、まだ手に入れられてないんです。頑張ろう。「本物」なので見ている人は見てるのだなぁと思いました。
諸星先生もお一人で描かれてるんですね。近藤先生もそうですが「孤高の」という言葉がよくお似合いなお二人です。
近藤先生のファンなら必携の単行本です。

「怪奇まんが道 奇想天外篇」宮ア 克〔原作〕,あだちつよし〔漫画〕
2017.12.24 B6判 192p ISBN978-4-8342-3261-5
2017.12.20. 16:16 | 単行本発売情報

2016年12月18日

「夢十夜」単行本が発売されます。

夢十夜2017年1月19日、岩波書店から近藤ようこ先生の「夢十夜」(原作:夏目漱石)が刊行されます。


第1夜から8話まではWebで連載されており、第9話と10話が単行本で追加となります。
岩波書店 WEB連載「夢十夜」

【追記 2017.2.4】
この刊行を機に原作の夏目漱石の「夢十夜」の単行本カバーが変わります。
近藤ようこ先生のものになるのです。岩波文庫の表紙が変わるってすごいことですね。
2016.12.18. 16:31 | 単行本発売情報

2015年12月25日

「月影の御母」「美しの首」の新装版が2冊同時刊行

美しの首 新装版月影の御母

2015年12月25日、近藤ようこ先生の「美しの首」「月影の御母」の新装版が2冊同時に刊行されました。装丁は新たに描き下ろしたイラストです。「美しの首」の方は「玉鬘」のカラー3ページが再現され、「月影の御母」の方は第1回「水底の夢」と第2回「海石榴市」のカラー扉が再現されています。こういうの、嬉しいんですよね…。

「美しの首」  「月影の御母」

近藤ようこ「美しの首」「月影の御母」2冊の新装版が同時発売(コミックナタリー)
2015.12.25. 23:15 | 単行本発売情報

2015年11月11日

「水鏡綺譚」がちくま文庫で発売

水鏡綺譚2015年11月10日、近藤ようこ先生ご自身が「自分の仕事の中でいちばん好きな漫画だった」という代表作「水鏡綺譚」がちくま文庫になりました。私自身、近藤先生の作品の中で一番好きな作品です。

これで3回目の単行本化です。今回は新たに先生ご自身の解説がついています。それを読んで思ったのですが、この作品はやはり少年漫画です。冒険漫画であり、教養小説でもある。旅をしながら成長していく少年の姿を描いてます。戦国時代に狼に育てられた孤児のワタルと記憶をなくした少女・鏡子が旅しながら様々な出来事に出会います。未読の方がいらしたら、是非。とても優しい漫画なんです。

単行本「水鏡綺譚」
2015.11.11. 20:55 | 単行本発売情報

2014年12月25日

「説経 小栗判官」の新装版が発売

説経 小栗判官2014年12月25日、KADOKAWA/エンターブレイン社から「説経 小栗判官」の新装版が発売されました。中世末に成立した口承文芸・説経節の長編「小栗判官」をマンガ化した作品です。

近藤先生の「説経 小栗判官」は1990年に白泉社から、2003年に筑摩書房から文庫で出ていましたが、長らく絶版状態でした。最近では2009年に宝塚が「オグリ!」を上演したり、他にも様々な劇団が「小栗判官」をもとにした舞台を上演しています。舞台化される際に役者さんたちが原作を読むことはあると思いますが、この作品の場合「原典を読め」というのはなかなか難しく、近藤先生のマンガ作品が重宝されていました。私たち観客も同様に、どんなお芝居なのか雰囲気をつかみたくて、読みたくなると思います。しかしながら、ここ数年は絶版で入手が難しかったのです。この新装版の刊行で助かる人が大勢いると思います。

もともと、この作品は横浜ボートシアターの仮面劇を見たことがきっかけになって描かれたものだそうです。当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、お芝居との縁の深い作品です。また、近藤先生はよく熊野に行かれたとあとがきに書かれていて、そう言えばと思い出しましたが熊野三山への旅エッセイも書かれておられました。

新版には初版時のあとがき、ちくま文庫時の山口昌男氏(故人)の解説に加え、今回のあとがきが収録されています。この本が刊行されたのは、『コミックビーム』とのご縁のおかげです。ファンとしてはとてもありがたいです。


2014.12.25. 18:29 | 単行本発売情報

2014年05月21日

単行本「異神変奏 時をめぐる旅」発売

variations.jpg2014年6月30日、「異神変奏 時をめぐる旅」が発売されます。この作品は小学館の『flowers増刊 凜花』にて2010〜2012年に連載された作品です。KADOKAWA/メディアファクトリーから発売されることになりました。芥陽子さんの装幀です。
amazonで購入

2014.05.21. 16:13 | 単行本発売情報