2022年11月09日

鎌倉文学館特別展「没後35年 澁澤龍彥 高丘親王航海記」レポート

鎌倉文学館で開催されている特別展「没後35年 澁澤龍彥 高丘親王航海記」に行ってきました。近藤ようこ先生の「高丘親王航海記」の原画も展示されていると聞いていたので、早く行きたかったのですが、ようやく行って来られました。

会期:2022年10月2日(日)〜12月23日(金)
会場:鎌倉文学館(〒248-0016 神奈川県鎌倉市長谷1-5-3)

2階の特別展示室A→第1部「高丘親王航海記」が生まれるまで/第2部 澁澤龍彥「高丘親王航海記」への航路
1階の特別展示室@→第3部「高丘親王航海記」の世界
の3部構成なのですが、ちょっとわかりづらい…1部屋1部構成かと一瞬勘違いしてしまいました。

鎌倉文学館の入口は2Fにあるので2Fの特別展示室Aから見ることになります。「高丘親王航海記」の原稿、創作メモ、自筆の地図が展示されていました。その作品の源泉となった少年の頃読んでいた海洋冒険小説、出来事(カフスボタンを飲み込んだ話)、その後読んだ東南アジア史、東洋史、高丘親王の伝記など参考にした大量の本等についても触れられています。

1Fの特別展示室@「第3部「高丘親王航海記」の世界」に近藤ようこ先生の原画が登場します。澁澤龍彥の原稿の横に少し展示があるのかな…くらいの予想で行ったのですが、原作の原稿と並べて全面的に原画が展開されていて、全部で26枚も展示がありました。展示されているのは単行本で言うと下記のページです。

第1巻:儒艮II p44〜45/儒艮IV p94/儒艮V p119〜120/蘭房II p175
第2巻:蘭房III p34〜35/獏園I p48/獏園III p96、p120
第3巻:密人IV p12、p35、p38/鏡湖II p85、p87/鏡湖III p99/鏡湖IV p129/真珠I p171
第4巻:真珠IV p62〜63/頻伽III p138/頻伽IV p155、p162、p164〜165

ストーリーに沿って展示がされていて、原稿と原画が並んでいます。とても素晴らしい試みです。私は先生の絵の方を重点的に見てしまいましたが、ちゃんと原稿も見ましたよ。なんとも言えずなまめかしい薬子の顔、かわいい儒艮などたくさん原画で見られて楽しかったです。

図録を見ればどの絵が展示されていたのかわかります。図録は通信販売されています
880円+送料300円。注文書をダウンロードしてFAXか郵送だそうです。
展示の詳細が入っているので、遠方やご都合がつかない方は是非。

マンガの原画展ではなく、あくまでも文学展に組み込まれて原画が展示されているという前提でいくと仕方がないのですが、以下の2点については不満でした。
1.原画の位置が低い場所がある…座り込まないと見えないケースもありました。
2.原画の前に棚があって原画が遠くなる
文章の原稿ならまだ読めるとは思いますが、マンガ原稿は細部が命なので。

また、これは原画展ではないし、原画展は以前行われているので仕方がないのですが、この作品、見開きで素晴らしい絵がたくさんあるのです。原画展として見るなら他にももっと見たい絵があったなぁ…というのが正直なところです。これも仕方がないです。今回ピックアップされた原画はストーリーの中では重要なものだと思います。

見学日は11月8日です。今年はバラの成長が早く、例年より早めに散ってしまったようでしたが、お天気がよく気持ちの良い日でした。鎌倉文学館は2023年4月から4年間の休館に入ります。その前に行っておいてよかったと思いました。

また、鎌倉文学館ではこの展示に合わせて近藤ようこ先生の講座動画をアップするそうです。
●特別展関連 文学講座「小説を漫画に描く」
鎌倉文学館公式YouTubeチャンネル

11月9日現在まだupされていませんが、up次第こちらに追記しておきます。
鎌倉文学館


没後35年 澁澤龍彥 高丘親王航海記パンフ


西洋の芸術文化や歴史への深い造詣から、独創的なエッセイや小説を書いた澁澤龍彦。彼の没後35年を記念し、唯一の長編小説で遺作となった「高丘親王航海記」に焦点を当てます。平安時代に生きた高丘親王の天竺への幻想的な旅を書いた作品と澁澤龍彦の魅力について、草稿や創作メモなどの資料と、漫画家の近藤ようこさんがコミカライズし高く評価された「高丘親王航海記」の原画をとおし紹介します。

〈特別協力〉澁澤龍子、近藤ようこ(漫画家)
〈寄  稿〉堀江敏幸(作家)
2022.11.09. 23:49 | イベントレポート