2025年10月4日、近藤ようこ先生の「家守綺譚」完結記念の個展「開く閉じる」を拝見するため、青山ビリケンギャラリーに言ってきました。前回の個展からちょうど1年ぶりです。今回も少しだけ雨が降っていました。外の札にまだ「COMING SOON」が貼られていました。初日らしさです。
タイトル:「家守綺譚」完結記念 近藤ようこ個展「開く 閉じる」
会場:ビリケンギャラリー
会期:2025年10月4日(土)〜10月19日(日)
日時:12:00〜19:00 月火休み ※10月13日(月)祝日営業
まずは「家守綺譚」原稿、モノクロ16枚。ページ数は単行本「家守綺譚」です。
1:第1話 サルスベリ(上)〔上〕p7 扉絵
2:第1話 サルスベリ(上)〔上〕p8
3:第1話 サルスベリ(上)〔上〕p9
オープニング3枚。物語の導入がすごく的確で、すっと世界に入っていけます。こういうときはディティールをキッチリつめて写実的に描かれているせいかと思いました。
4:第3話 都忘れ 〔上〕p39
5:第8話 ドクダミ(上)〔上〕p107
高堂の出てき方が、しとしととした雨の中を出来て初回と違ってちょっと雑な感じで「ガサガサ」と。次のシーンは雨のざぁざぁという雨の音を文字で連ねて、雨に襲われている感じが伝わってきます。とても陰鬱‥
6:第10話 カラスウリ〔上〕p142
高堂が出てきた夢の続きのような幻想的な絵。綿貫は家守(やもり)になっています。
7:第11話 竹花〔上〕p147
竹の葉に化されそうになった話の扉ですが、導いてくれたサルスベリの行灯でしょうか‥?
8:第19話 ススキ(上)〔下〕p15
ゴローが飛び回っていて、とてもかわいいです。
9:第19話 ススキ(上)〔下〕p17
10:第19話 ススキ(上)〔下〕p18
夜のシーンなので、トーンが多めです。近藤先生のトーンワークが見られます。この後、とてもきれいな月とススキの1枚絵が登場します。
11:第23話 ネズ(上)〔下〕p62
掲載時はその前の「野菊」と別れていたので、原稿ではページ冒頭にタイトルが入っています。
12:第23話 ネズ(上)〔下〕p63
お隣のおかみさんは何でもご存じです。
13:第24話 サザンカ〔下〕p87
14:第24話 サザンカ〔下〕p88
花嫁行列です。佐保ちゃんはどこにお嫁にいくのかな。こういう絵は近藤先生の真骨頂‥?
15:第26話 檸檬〔下〕p113
16:第26話 檸檬〔下〕p114
この絵もトーンが多様されています。汽車ですね。雪が降っていて曇天なんですね。マドンナ・ダァリヤの君の待ち人は龍?にお嫁に行った佐保ちゃんかな‥?佐保ちゃんは佐保姫ですよね。
ここからカラー作品になります。大きいものが8枚、小さいものが14枚だと思います。
「リボン」水彩・墨
カラフルなリボンとお花の中にいるネコが。菩薩のような女性のお顔。
「つぼみ」水彩・パステルマーカー
つぼみの中にいる女性。今回お花や草が多いのは「家守綺譚」の流れですね。
「髪」水彩・色鉛筆・墨
「緑の穴」水彩・パステル
右は今回の個展のメインイメージです。先生は「蔓(つる)」がお好きだそうです。
「豹」アクリル・パステル・墨
※左側の絵のタイトル、失念してしまいました。すみません。ここも蔓が。
「赤い糸」水彩
こちらも蔓。赤い糸で着ながら服を縫っています。
「毛皮」水彩・パステル
“ネコと一体化したら嬉しいだろうなぁ”とのこと。本当だ。一体化されています。
小作品 3枚。額は大きいです。
前回の兎や龍の流れと今回の葉っぱ
小作品 4枚。小作品はほとんど「水彩・パステル」か「水彩」です。
ネコやヤモリがいます。今回の主役は実はヤモリでは‥?
小作品 2枚。
小作品 2枚。
小作品 3枚。
「どうやってサルスベリが入れて〜って言ってるのを表現したらいいか‥」と悩まれたそうですが、作品では「入れて〜」って言ってるなって感じがしましたよね。
ギャラリー「家守綺譚」上下の本(ポストカード入り)や「家守綺譚」の原作者の梨木香歩先生との対談が掲載されている『波』もありました。ネットで予約してしまったので、ポストカード入りの本が買えなかったのは残念ですが、出版社の都合・書店の都合考えると致し方ありません。販促物つくっていただいただけでもありがたいです。
近藤先生もお元気そうでした。
ポストカード12枚セット。前回の「兎と鰐」の個展で展示された小作品シリーズにメイン画像を加えた12枚です。
「家守綺譚」の連載が始まったのは『波』2022年10月号ですから約3年ですね。通常のコミックなら途中1巻分がまとまったところで出版すると思うのですが、小説作品は完了してから出版されますので、上下巻に分けてまとめて刊行というのは文芸出版社らしいなと感じました。
連載中はカラーがないので想像していただけですが、表紙画がアップされたとき、淡いパステルカラーで、こういう感じだったのかと思いました。
もともと私は植物が意思をもって人間に働きかけるお話が好きでした。もちろん動物の話も好きです。動物は比較的わかりやすいですが、擬人化させずにそのままの姿で植物の意思を表現するのは、とてもたいへんだったと思います。
9月27日発売の新潮社『波』2025年10月号に梨木香歩先生との対談が掲載されていました。続きは11月号に載るそうです。梨木先生は作品の通りの優しい感じの方でいらしたそうです。近藤先生の二つくらい下で同年代で、お二人とも品の良い、知性あふれる感じで素敵な対談でした。
この対談の中で梨木先生が近藤先生の絵に「イメージに可塑性がある」とおっしゃっていて、私は「それだ!」と合点がいきました。あまりかっちりしていないから、読者がイメージを膨らませる余地がある。でも実はよく練られて綿密に計算されている絵なのだと思いました。
近藤先生の絵を見ていて「紙に描いた絵だな」と感じました。そんなことは当たり前のことですが、デジタル画の展示ですとやはり紙も線もシャープすぎて感じないのです。印刷物で配布するための漫画や絵を描くにはデジタルはとてもいいと思うのですが、印刷物で配布するためではない、飾るための「絵」はどうなるんだろう?と。例えば油絵のように重ねた絵の「風合い」は表現可能でも物理的には違うような気がします。それと同様にパステルや水彩も紙に物理的ににじませたものは、やはり出ないような気がしています。
近藤先生の個展でやさしい、「紙に描いた絵」をご覧になってください。
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